建設業に勤務している方は、「雇用管理責任者」という資格を受けて下さいという通知を会社で見たことがあるかと思います。「建設労働者の雇用の改善等に関する法律」(以下、建設雇用改善法)の第5条にて雇用の責任者を選任することと記載されています。
目次
〇雇用管理責任者の職務
雇用管理責任者は職務事項として以下のものがあります。
- 建設労働者の募集や雇入れ、配置に関すること。
- 建設労働者の技能の向上に関すること。
- 建設労働者の職業生活上の環境の整備に関すること。
- 前三号に掲げるもののほか、建設労働者に係る雇用管理に関する事項で厚生労働省令で定めるもの
会社の総務部に勤務している方は、至極当たり前のものが記載されているなと感じてしまうかもしれません。実は建設業では雇用環境が改善されない会社がまだ存在しているということが問題でもあるのです。
〇雇用管理責任者研修
雇用管理責任者研修は、上記事項が管理できる労務管理のプロになってもらうように研修を行います。事業主は雇用管理責任者研修の通知が届きましたら、労務管理の担当者に研修を受けてもらうよう配慮をする必要があります。ところがこの研修は努力義務であるので強制ではありません。あくまでの任意での研修会参加となります。この研修は大体1日で終了しまして、受講料はほとんどの場合厚生労働省からの委託で実施しているので無料でテスト等もありません。ここで注意すべきなのが、会社宛に受講料が有料の案内通知書が届く場合があります。有料の雇用管理責任者研修は、まずは受けなくても問題ありません。
〇どの雇用管理者研修を受けるべきか?
有料の雇用管理者研修よりも、会社としては厚生労働省から委託を受けた無料の研修の方がいいに決まっています。
現在、「建設労働者確保育成助成金制度」で厚生労働省が助成金によって研修会の助成を行っていますので、しっかりとその団体がこの助成金制度で開催しているということを宣言している研修会に参加されればよろしいでしょう。
〇雇用管理責任者の配置
建設業では雇用管理責任者を事業所ごとに配置する義務があります。会社単位ではなくて事業所毎に配置という点にお気をつけて下さい。なお、雇用管理責任者の設置届出等は行政官庁への届け出は不要です。
〇一つの建設現場においての雇用管理責任者
建設業の場合、一つ一つ大きな現場や小さな現場があります。もし一つの現場が下請負業者の労働者数も含めて50人以上働いているような場合には、雇用管理責任者の選任が必要とされています。この選任義務というのが下請業者各会社毎に定められます。建設業法によって、元請建設会社は施工体制台帳という台帳を整備する義務が生じます。下請負建設会社は、その施工体制台帳にて「雇用管理責任者」を記載してしっかりと建設雇用改善法に準じて労務管理を実施しているということを元請の建設会社に報告するのです。