
通関士は、貿易実務に関する国家資格として有名です。関税に関わる専門的な知識を要求される業務であり、貿易に携わっている会社には必要な資格となっています。
〇通関士
通関士は、関税に関わる輸出入されている物品の通関手続きを処理する仕事です。貿易の実務といえば通関士の業務と言われるほどであり、貿易業界の税理士・行政書士とも呼ばれています。この業務は通関士でなければ他人の依頼物を輸出入による申告手続きをすることは出来ません。
通関士としては士業である、公認会計士・税理士等のようには個人事業として独立することは出来ません。必ず通関業者に勤務して業務に携わらなければなりません。
〇通関士試験
通関士になる為には、通関士試験を通過しなければなりません。財務省管轄の国家試験であり、通関が実施しています。
http://www.customs.go.jp/tsukanshi/
・受験資格:誰でも受験出来ます。年齢制限や国籍等の制限もありません。
・試験日時:毎年10月の日曜日に実施されます。
・試験科目
- 通関業法:40点満点中24点で合格基準点
- 関税法・関税定率法及びその他関税に関する法律:50点満点中30点が合格基準点
- 通関書類の作成要領及びその他通関手続きの実務:30点満点中18点で合格基準点
・合格基準:各科目の合格基準が、上記のように例年6割以上となっていますが変動はあります。
・科目免除者:以下の実務経験を有していると科目の免除があります。
- 通関実務:通関業者の通関業務又は官庁における関税その他通関に関する事務に5年以上
- 関税法等通関実務:通関業者の通関業務又は官庁における通関事務に15年以上
・合格率:平均15.4%と厳しい数字です。しかしながら、過去3年の合格率で見てみますと近年は10%前後を推移しています。
- 平成25年度:11.7%
- 平成26年度:13.2%
- 平成27年度:10.1%
・勉強時間:合格率から見て長期間の勉強時間を必要とすることがわかると思います。ほとんどの方がスクールや通信講座を受けて受験勉強をされています。勉強時間ですが、おおよそ350時間~400時間程度と言われています。
・試験内容での英語力:貿易実務ですので、英語の問題が出題されます。英語が苦手でも大丈夫でしょうか。これは英会話というよりも、実務が重視されていますので英単語の方が必要となっています。外国人と会話を話すような出題が出るようなことはありません。通関士としての業務でも英語で相手と交渉するようなことは無いからです。むしろ英語の問題よりも法令や制度の方が重要視されています。
〇通関士としての仕事内容や報酬等
通関士の給与は一般のサラリーマン待遇という格好となっています。平均年収で400万円~450万円程度と言われています。通関士資格を保持していれば、資格手当を支給するという会社が多いようです。労働時間ですが、会社によって違ってきますが貨物の多いところは残業も多く、休日出勤も普通のようです。
最近では通関業者に勤務している方が通関士試験を受験するのではなく、金融機関や外資系のように貿易に多少関わる仕事をしている会社員が貿易知識を欲しいが為に受験されていることも多いようです。